自宅を出て空を見上げると、低く垂れこめた霧のような雲に覆われていて、いきなり不安な出発となった。 その不安も長湯から久住高原辺りまでに解消され、氷点下10℃、 1台だけ停まる牧ノ戸登山口に午前2:00過ぎ到着する。 仮眠後、月がガスに見え隠れする午前3:30、牧ノ戸登山口を出発する。 今日は稲星山と言う事で、若干早めに出発した。 さすが祭日直後の平日であり、朝駆けらしき増えた車は2台ほど、今日は静かな夜明けとなりそうだ。 気温は低いが風も殆んど無く快適で、登山道もアイゼン無しで軽快に上げて行く。 鍋谷辺りで先行者1人に追いつき、追い越し際に挨拶をしようと顔を見上げると佐伯の宮本さんであった。 宮本さんとは1月23日に次ぐ遭遇で、私より10歳程年上だが、いつも重たい機材で体力には関心させられる。 久住山へと言う宮本さんより先行させていただき、先へ進むとまた先行者の明かりが一つ星生崎直下へと進む。 私も星生崎直下へ到着するが先ほど見えていた先行者の明かりが何処にも無い、 消えた先行者を気にしながら先へ進む。 いつもなら左から強風吹き付ける久住別れも今日は三俣方向を眺めながらの余裕で上げて行く。 前日の登山者の多さを物語るトレースを追いかけながら、御池から誰もいない池の小屋へ午前5:10到着する。 周りの山頂にはまだ誰の明かりも見当たらない。休まず、東千里へと下り、稲星山へと取り付く。 午前5:30、牧ノ戸登山口から2時間丁度で稲星山へ到着する。ここ稲星山頂でも珍しく風が殆んど無く、 超快適である。 すかさず東の地平線方向を見るが、日の出を邪魔するような濃い霞も無く、 ピーカンだが朝焼けには期待出来そうだ。 東の空が次第に赤らんで来ると、 飯田高原から坊ガツルへと流れ込んだ低いガス雲が立中山を越えて久住高原へと、 流れ下り始めた。ピーカンの中の物足りなさにちょっとしたサービスを頂き、しばらくの間楽しめた。 そして、いよいよ日の出時刻となり、周りの様子が一瞬にして様変わりした。と、同時に超忙しくなった。 中岳・天狗は焼ける、稲星北側斜面も焼ける、ガメラも吠えるし、何処をどう撮ったらと慌てるばかりだ。 とどめは、日の出までは気にしてなかった稲星南斜面のシュカブラが日の出とともに鮮烈に浮かび上がって来た。 とにかく美しいの一言。出来た時の風の強さなどの自然の厳しさがまざまざと想像される。 じっくりと眺めていたいが、そうは行かない。刻々と変わる色合いと影の形状にせかされながら、 ただシャッターを切るだけ。 非常にあわただしい日の出時刻も過ぎ、改めて稲星山の魅力を感じた。 ただし、この慌てようは自分ながら滑稽に思える。 その後、トレースの無い雪深き道を鳴子山への途中まで行って見ると、 稲星越から鳴子山辺りは雨氷だらけで綺麗に輝く。 同じく稲星越から東千里までもトレースが無く、 覆いかぶさる雨氷・樹氷をかがんで潜り抜けながら東千里中岳直下へと。 帰りに池の小屋に立ち寄ると、必殺朝駆け人こと「六丁目」の原園さんがいらした。 ここで、今朝の星生崎直下で消えた明かりの正体が原園さんだと分かり、一件落着。 月の撮影をされていたとの事。 夕駆けまでもとか?、のあっぱれな原園さんとお別れして御池から久住避難小屋前まで下る。 ここで、久住へ登られた宮本さんへ電話をするが圏外。すると間もなく久住避難小屋から声と共に宮本さん。 二人で、天気の良い絶好の登山日和の下、少な目な登山者に挨拶を交わしながら牧ノ戸登山口へと下る。 牧ノ戸登山口で自分の車へ歩いていると、来た来た重役出勤のボス。「九重の四季」の木下さんである。 言うまでもなく、木下さんの恋人であるガメラの今日の様子をお伝えした。はたして結果は?、楽しみだ。 |