牧ノ戸へ車を走らす夜空は月が煌々と輝く快晴の星空。 「くじゅうの空」に浮かび上がる夜空の三俣山に魅かれて家を出た。 久しい朝日見たさに天気予報の悪さも忘れて衝動的過ぎる我が行動にあきれながら、 午前2:30牧ノ戸登山口到着する。 上の駐車場に1台の車が有るだけと言う最近にしては珍しく少ない。温度計は氷点下7℃、 依然として月と星空の快晴。 身仕度をし時間まで目をつむる。今回も出発前の仮眠がほとんど出来ず、何か良い方法がないものか。 午前4:00、一変してガスに覆われた空に変わった牧ノ戸登山口を出発する。 結局、他の登山者は現れず仕舞い。 出がけにオアシスさんの「九重連山の光と影」の怪談を読んできたばかりなので、 今日の朝駆けは多い方が良かった(笑)。 沓掛山を越え下ると粉雪が舞い始めて、扇ヶ鼻分岐からは風もやや強くなり、 撃沈モードへと着実に進んでいた。 ところが、久住避難小屋から出て久住別れへと上がると、ガスがスーッと退き周囲全ての視界が開けた。 しめしめと喜びながら天狗へと取り付きふと後ろを振り返ると、 星生崎と星生山の鞍部へと超巨大な月が沈み行く。 「でかい!!」ザックを下してカメラを取り出そうとしたが、「三脚が面倒だし、 山頂からにするか」と無精癖が出る。 案の定、山頂に到着した時には月はガス下に消え去っていた。あんなデカイ月は初めてだった(泣)。 午前6:00頃、天狗ヶ城山頂に到着する。気温氷点下12℃、やや強い北風が吹きつけ、 ほぼ360度視界が効く。 東の地平線上がやや朝焼けを始めていて、今日の朝日は約束されたもののように錯覚しながら眺める。 霧氷の状態を確認しながら北尾根を下って行く。すると三俣山方向からガスが襲って来た、 わずか到着10分後の事である。 そのガスは天狗ヶ城では2度と晴れることはなかった。 しかし、久しぶりの夜明け前の雪山の景色は綺麗だった。 日の出時刻直前に少しでもガスの晴れそうな中岳へと移動するも、結局、意味無くまたまた「撃沈」。 5回連続記録更新中。 それから甘い考えで長期戦に突入して、雪の中ガスとの根気比べが続いた。 午前10:00過ぎ、何処ともなく無く天狗方向のガスをぼんやりと眺めていると、 ガスの切れた空間が一瞬右から左へ走った。 たまたま首に下げていたカメラでシャッターを切ったが、シャッターを切れたのはわずか1枚。 一応天狗とわずかな青空は写ってはいたが、あまり期待はしていなかった。 しかし、その1枚が今日の貴重な1枚となった。その後、ガスは晴れるどころか吹雪へと悪化して行った。 正午、5時間待ち疲れた中岳山頂を、この期に及んでまで後ろ髪を引かれながら下って行く。 さすがに少ない登山者と挨拶を交わしながら、睡眠不足の為に眠く休み休み牧ノ戸登山口に無事到着する。 |